Tokina社から発売されているFUJIFILM Xマウント F1.4大口径レンズ『atx-m 23mm F1.4 X』をスナップや家族写真の撮影に使ってみたので、使い勝手や写りをレビューしてみたいと思います。
XマウントにはFUJIFILM純正で『XF23mmF1.4 R』という同様スペックのレンズが発売されていますが、そちらよりもグッとお手頃価格で手を出しやすいレンズになっています(新品で3万円以上安い)。
F1.4の明るいレンズが欲しいけど純正はちょっと高いなぁと思っている方にチェックしてもらえたら嬉しいです!
最初にこのレンズのことをまとめると。
良いところ
- F1.4という明るい大口径レンズ
- 純正よりも安くて手を出しやすい
- 写りが良い
気になるところ
- 静かな場所ではフォーカス音が気になる(純正も静かではないらしいが)
- 開放で撮ると周辺減光が気になる(絞るか補正すればいい)
- 逆光に弱い(レンズフードで対応可能)
このレンズを使っていて一番気になったのは「開放時の周辺減光強め」という点です。
公園や街でスナップするときは気にならないですが、空を入れて撮るときに四隅がけっこう暗くなって気になりました。そんなときはF2.8まで絞れば改善しますし(絞り別サンプルあります)、どうしても開放で撮りたければ現像時に簡単に修正可能なものなので、そこまで気にする必要は無いかなと思います。
このレンズの良さは「F1.4で明るい」「写りが良い」という点!それがこのお値段で手に入るというのが一番のメリットだと感じました。色々と気になるところも書いてはいますが、F1.4の明るい大口径レンズが欲しいけど純正はちょっと高くて手が出ないなぁっていう方に選択肢の一つとしてオススメできる1本です!
使っていくと、どんどん良さが分かっていくレンズに感じました。
長いので気になるところまで読み飛ばしてね
Tokina atx-m 23mm F1.4 X
Tokina社から発売されているFUJIFILM Xマウント向けのatx-mシリーズは、現時点で23mm,33mm,56mmがラインナップされています(APS-C版)。また、新しくSONY Eマウント向けも発売されました。
atx-mとは、トキナーが設けたシリーズで、「m」はmotif(動機・創作行為)を表しており、「ユーザーが創作行為を掻き立てられる」を意味します。
このatx-mシリーズは、トキナーのミラーレスカメラ専用の交換レンズ群として、ラインナップしていくもので、高性能フルサイズ専用の「FíRINシリーズ」とは、棲み分けて製品展開をしていきます。
Kenko Tokina公式サイトより
FUJIRILM Xマウント | SONY Eマウント | |
23mm | atx-m 23mm F1.4 X | atx-m 23mm F1.4 E |
33mm | atx-m 33mm F1.4 X | atx-m 33mm F1.4 E |
56mm | atx-m 56mm F1.4 X | atx-m 56mm F1.4 E |
レンズスペック
今回紹介している 『atx-m 23mm F1.4 X』 と同じ焦点距離のFUJIFILMレンズとの比較表を作ってみました。
今回レビューのレンズ | |||
メーカー | Tokina | FUJIFILM | FUJIFILM |
製品名 | atx-m 23mm F1.4 X | XF23mm F1.4 R | XF23mm F2 R WR |
焦点距離(35mm換算) | 23mm(35mm) | 23mm(35mm) | 23mm(35mm) |
F値 | F1.4~F16 | F1.4~F16 | F1.4~F16 |
フィルター経 | 52mm | 62mm | 43mm |
手ブレ補正 | – | – | – |
最大径 x 長さ | 65 x 72 mm | 72 x 63 mm | 60 x 51.9 mm |
最短撮影距離 | 0.3m | 0.28m | 0.22m |
最大撮影倍率 | 0.1倍 | 0.1倍 | 0.13倍 |
重量 | 富士フイルムX:276g ソニーE:276g | 300g | 180g |
発売日 | 富士フイルムX:2020年12月11日 ソニーE:2021年11月12日 | 2013年10月12日 | 2016年10月6日 |
価格 | 約 5.5万円 | 約 9万円 | 約 4.8万円 |
メーカーサイト | 製品情報ページ 仕様表 | 製品情報ページ 仕様表 | 製品情報ページ 仕様表 |
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FUJIFILM純正レンズにはF1.4とF2がラインナップされていますが、価格的にはF2に近いのが驚きです。
純正F1.4とサイズ比較すると、レンズ自体は長いけどフィルター径は小さく、24g軽くなっています。
重量
レンズの重量と手持ちのX-E4を組み合わせた重量を計ってみました。
仕様上は276gとあったレンズ本体は297gとありました。レンズキャップとリアキャップを付けたまま計ったからだと思います。フード自体は33gで、レンズに取り付けたら330gです。
手持ちのX-E4とレンズを組み合わせると650g(フード付きで683g)でした。
F1.4の大口径レンズを着けて683g!軽いと持ち出したくなります。
付属品
付属品はこちら。花形のレンズフードが付いています。
- レンズ
- レンズフード(BH-523)
- 元箱
- 説明書
- フロント/リアキャップ
外観と操作性
まずはレンズ正面です。金属外装がひんやりしていて全体的に質感は良いです。
フォーカスリングが大きくスムーズに動くので、マニュアルフォーカスしやすいなと感じました。
花形フードを取り付けると、全長がけっこう長くなるので、ぼくは普段は着けていません。ただ、逆光に弱いなと感じるので、きっちり撮りたいときには着けるようにしています。
レンズ前面は何も書かれておらずにシンプル。マウント部はしっかりと金属製になっていますが、防塵防滴のシーリングは付いておりません。
レンズ前面のフチ?のところがゴムっぽい素材なので、不織布のクリーニングペーパーで拭いていると紙くずが付着してしまいます。 ここはペーパーで拭かずに、刷毛やクロスで拭いてあげましょう。
気になる人は52mmのプロテクトフィルターを付けた方が良いかも。
絞りリング
絞りリングはF1.4からF16まで1/3ずつの目盛りがあります。目盛りごとのクリック感が無いものになっています。これは、動画撮影時にクリック音が入らないという利点があります。
F16の隣にある「A」にセットするとカメラ側のダイヤルで絞りを変更することができます。F16からAに変更するところだけクリック感があります。
フォーカスについて
静かな室内でAFを使っていると、ジージーという音が気になりました。屋外で使う分には全く聞こえないので、ベッドで寝ている赤ちゃんやペットを撮る方は気になるかもしれません。
速度的には静物へのフォーカスは全然問題ないです。迷いも少なくピピッとピントが合います。スナップ撮りには問題を感じませんでしたが、動き回る子供を開放で撮ろうと思うとなかなか難しいなというのが正直な感想です(カメラ側の性能によります)。
その中でも、前後に走り回る子供へのAFが追いつかないという印象です(まあこれは難しい条件ですよね)。それ以外では特に困らないので、難しい条件のときだけ絞って撮るなど対応する必要があるかと思います。
X-T20+XF35mm F1.4を使ってたときよりフォーカスは断然早く感じます
初見時、マウントの目印が分からなかった…
慣れてしまえばどうってことないのですが、初めてレンズを装着するときにどこにマウント目印があるか分からなかったです。
Tokinaのロゴのところに小さく四角いマークがあるのですが、そこがマウントを取り付ける場所になります。さすがにちょっと分かりずらいなぁというのが本音です(使っていればすぐ慣れました)。
外観的に”良い”ところと”気になる”ところ
良いところ
・金属外装で質感がいい
→質感的には純正レンズに引けは取らないなと感じました(純正の方が若干良いけど値段的に十分)
・絞りリングがある
気になるなところ
・マウントの目印がわかりにくい
→慣れれば問題ないのですが、初見でわかりにくかったです。
・フォントの統一感
→これは個人の趣味になるのですが、英字は英字で数字は数字でフォントが異なるように見えるので、そこが統一されていたらもっとカッコいいんじゃないかなぁと感じました。
今手元にあるXレンズと大きさ比較
今手元にある他のXレンズと大きさを比較してみます。
左がXF90mmF2 R LM WR、中央が当レンズ(Tokina atx-m 23mm F1.4 X)、右がXF23mmF2 R WRになります。
同じ焦点距離でコンパクトなXF23mmとの大きさがこれだけ違うので、コンパクトなF2か大口径なF1.4を選ぶのか迷います。
参考までに、小型なX-E4の隣に置いてみました。X-E4がかなり小さく見えますね・・・かっこいい
3本中、23mmが2本もある…
FUJIFILM X-E4に装着
次に、X-E4に取り付けたところを撮ってみました。
X-E4がかなり小型なのでレンズが大きく感じるかもしれませんが、レンズ自体軽いので持ちにくいという感じはしません。
おそらくPro系やT系を使うとかなりバランスが良さそうと感じました。
次にフードを着けてみたところです。これはけっこう長くなってしまうので、逆光でもしっかり撮りたいとき以外は外して使っています。
絞りによるボケ・解像度・収差など
歪曲収差・周辺減光
家にあるカッターマットを撮ってみました。正確さは担保できませんが、歪曲収差と周辺減光の具合が分かるかなと思います。
歪曲収差は、若干の樽型を感じますが、かなり抑えられている印象です。
周辺減光は、F2まではかなり周辺減光があるなと感じます。F2.8になるとかなり改善されてF4ではほぼ無くなるなというところです。
歪曲収差も周辺減光もスナップを撮る分にはあまり気になりませんでした。ただ、空を入れて撮ったときに開放だと四隅の減光が気になりました。そこはF2.8まで絞るか、どうしても開放で撮りたいなと思ったら現像時に補正すれば気にならなくなるので致命的なものでは無いかなと思います。
F5.6あたりの絞りを使うと画面全体で解像度が良いなと感じていて、街スナップで多用しています。
[作例]Tokina atx-m 23mm F1.4 Xで撮ってみました(カメラ:X-E4)
当レンズはストリートスナップですごく愛用しているので、作例が多めになっています。
全体的にフィルムシミュレーションをカスタムして使っていましたが、クラシッククロームとエテルナが多かったと思います。
ストリートスナップ
ストリートスナップではF5.6あたりに絞って使うことが多かったです。色々使っていいてその辺りが一番写りのバランスが良いなと感じました。 画面全体が均一に解像して気持ちがいい写りです。
とくに光を意識して撮っていると、立体感のある雰囲気の良い写りをしてくれるなと感じています。
子供スナップ
子供を撮るときには開放をよく使っていました。1~2m離れて開放で撮るのが印象深い絵になるなと感じたので狙って撮るようにしていたのですが、動き回る子供をAFでバッチリ撮るというのが難しいー。
見返すとピントを外していることが多かったので、次は素直に少し絞って撮ろうかなぁと思っているところです笑
顔認証もしっかり効いてくれる!子供は開放F1.4で撮りたいので頑張る!
建築物
建築物も撮るのが好きなので、ちょこちょこっと撮ってみました。広角すぎないので建築スナップにもちょうどいいです。
モノクロで撮ると周辺減光も良い雰囲気になってくれますね。
弱点の逆光
こちら、ど逆光で撮った写真には盛大にフレアが出ています。独特な輪っかのようなゴースト?が出るので、気になるときはフード必須かなと感じました。
子供を逆光で撮るのが好きなのですが、シャワー状のゴーストが発生しています。これもハレ切りすればいいだけなのですがめんどくさくて…笑
ただ弱点ではありますが、逆光独特のゆるい絵にしたいときの表現として使えるなとも感じました。
逆光の雰囲気を出そうと思ったので、フードなしで撮るのもありです。
まとめ
以上がTokina atx-m 23mm F1.4 Xのレビューでした。
開放(特に逆光)で撮るとふわふわっとした優しい表現になり、少し絞ると均一に解像するレンズだなと感じました。
開放ばかりで撮っている人にはオススメしにくいですが、「開放の表現」と「絞った表現」の2通りを楽しめる人にはオススメできるレンズだなと思いました。
最後にもう一度、このレンズをまとめてみます。
良いところ
- F1.4という明るい大口径レンズ
- 純正よりも安くて手を出しやすい
- 写りが良い
気になるところ
- 静かな場所ではフォーカス音が気になる(純正も静かではないらしいが)
- 開放で撮ると周辺減光が気になる(絞るか補正すればいい)
- 逆光に弱い(レンズフードで対応可能)
正直、弱点もありましたが、純正よりもかなりお手頃価格になっているので、そこもレンズの味や個性と捉えることができる面白いレンズだなと感じました!
絞りによる写りの変化や、被写体との距離による雰囲気の違いなど、使っているとどんどん仲良くなれるレンズです。
ワンオペで子供と出かけるときはコンパクトなF2を持ち出すことが多いのですが、ストリートスナップや妻と一緒で余裕のあるときはatx-m 23mm F1.4 Xを持ち出しています。
このレンズを使っていると、XF23mm F2では撮れないF1.4の世界があるなぁと感じました。
そんなF1.4の世界を味わいたいなぁってときには、ぜひatx-m23mm F1.4 Xをチェックしてみてもらえると嬉しいです。
SONY Eマウント版も新しくラインナップされたみたいです!
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